学園(序)
「もういいアル」

「何?」

「面倒くさいアル」

「は?」

いきなり気が変わったとか言い出すんじゃないだろうな。

「後二発残ってるんだ!途中で止めるとかいうんじゃねえだろうな!」

「私の綺麗な手を傷物にするのも嫌アル」

「ふざけんな!ぐえ」

駄目だ、落ちる。

膝をついてしまい、賭けは俺の敗北に終わってしまった。

「嘘だろ?」

こんな大切な時に、もうちょっと根性ねえのかよ。

吟ネエに見本を見せられなかった自分の未熟さ。

そこには悔しさしかない。

龍姫が俺の傍によって、体の状態を確かめる。

「吟、やりすぎじゃ」

「先輩、これは俺と吟ネエとの賭けなんだ。今ので俺の負け。それだけの事だ」

吟ネエは何事もなかったように、新しいトウモロコシを食べ始めている。

「運動した後のトウモロコシもおいしいアルな」

「貴様、少しは丞の身を案じぬのか?」

龍先輩から、怒りのオーラが感じる。

「いいんだって!」

「良くはない!それが甘やかしなのじゃ!」

「違う!これは正当な取引なんだ!俺が怪我したのは自分のせい!吟ネエのせいじゃない!」

「そなた、阿呆か!理由はどうであれ、吟の拳によって大怪我しておるのじゃぞ!」

「アホでもなんでもいい!とにかく、この件で吟ネエを責めるのはやめてくれ!」

それだけを言うと、龍先輩は静まってしまった。

「先輩、心配してくれてありがとう。でも、本当にいいんだ」

俺はトウモロコシを食べている吟ネエを見る。
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