学園(序)
しかし、吟ネエは黙ってるととてもキュートに見えるんだけどな。

こう、絵になるというか。

俺が画家なら、絶対モデルの対象にしちゃうぜ。

夢のようなことを頭に浮かべながらも吟ネエの隣に座った。

「吟ネエ、今日は起きるの早いな」

「んー」

半目で、本当にテレビを見ているのかどうかすら危うい。

近くにいる俺の声でさえ届いてないかもしれない。

吟ネエは約束はそれなりに守るので、遊びであるならば眠かろうがドタキャンはしない。

そこも好きなところである。

「眠いなら今日は寝ててもいいよ。俺が説明しとくから」

ここまで危ない状態で外に連れて行くと、何が起こるかわからない。

「イカランチが待ってるアル」

吟ネエの中では昼飯はイカランチを食べる予定らしい。

イカランチといえば、隣町のファミレスまで行かなければない商品だ。

「でもさ、目をつぶりながら歩くと危ないよ」

「そんな時にはこれアル!」

セロハンテープを持ち出してくると、瞼の皮を引っ張りそこに貼り付けた。

おいおい、キュートな顔が台無しじゃないか。

「そりゃ笑えない冗談だよ」

セロハンテープを奪い、ついでに吟ネエの瞼のテープも剥がした。

「眠いアル」

「吟ネエ、夜更かししてたのか?」

「昨日はMISAKIのヌード写真集を見ていたアル」

夜更かしまで見るものなのだろうか。

MISAKIというのはアイドルで売れていたのだが、最近になってヌード写真集を発売しだした。

その時は話題の的となったのだが、今は落ち着いてきている。

今もちょくちょくテレビなどには出ているけれど、出演回数などは減ってきているように思えるな。

テレビというのは大胆なことをすれば出続けられるわけではないようだ。
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