学園(序)
「今日ぐらいは羽目を外しても構わぬと言うたのじゃがな」

乾を見ている事に気付いたのは龍先輩であった。

乾はどこを見ているのかわからないが、我関せずの態度を貫いている。

「まあ、良い。非常事態がないとは限らぬからな」

「何かあったら、俺が粉骨砕身の精神で守ってみせますよ」

「あははは!丞君、男前ー!私のこともちゃんと守ってよ!」

笹原先輩が腕に抱きついてくる。

吟ネエのようにディープな触り方ではないのはいいんだ。

でも、巨乳なんだよね。

吟ネエが美乳だとするならば、笹原先輩は吟ネエを越えるビッグサイズを持つ女。

今だって巨乳の間に腕が入り込んでいるというか、本人にその気はないけど誘惑に溢れちゃってるよ。

「せ、先輩、ちょ、ちょっと離れてください」

「アハハハ!嘘言っちゃ駄目だよ!本当は嬉しいくせにー!」

嬉しいけど、龍先輩の視線が痛いんだよね。

「ぎ、吟ネエ、何か言ってやってよ」

吟ネエに助けを求めたが、門のところでパックの牛乳を飲んでいる。

俺達がやり取りをしている間に買ってきたのだろう。

「朝は白い液体に限るアルな」

「卑猥な言い方する必要ねえじゃねえか」

道端に座るなんて、ヤンキーじゃないんだから止めて欲しいぞ。

「そなた、今日の予定は考えておるのか?」

いつまでも同じ場所に数人で屯しているわけにもいかない。

俺が誘ったからこそ、どこへ行くかは俺が決めるのが筋ってものだ。

しかし、実は何も考えていなかったりする。

昨日は晩飯を食べてからすぐに寝たからな。

「何じゃ、考えておらんのか」

悩んだ素振りは見せてなかったが、簡単に見破られてしまったようだ。

「男としては失格じゃ!こんな奴と一緒など、先が思いやられるわ!」

後ろから声真似をする牛乳を飲み終わった吟ネエ。
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