ラブ・スーパーノヴァ
「はー・・・どっかにいい男いないかなあ・・・。」

圭子がため息をつく。倫は研究室にいたところをご飯を一緒に食べようと呼び出されていた。ちょうど実験が一段落したところだった。

「あのー、圭子さん・・・彼氏いましたよね?」

圭子が苦い顔をする。

「とっくに別れたわよ。他に女が3人もいたのよ!
3人!!信じられる?たいしてかっこいいわけでもないのにさ。ふざけんじゃねーっつの。」

「あのさあ、圭子ちゃんの’いい男’ってどんなの?」

圭子は頬杖をつきながら外を眺めながら言った。

「そうねえ・・・。背が高くて、紳士的で、顔立ちは・・・あっさりしてるんだけど目に力があって・・・金持ちなら言うことないわね。」

倫は脱力した。圭子の理想はどんどん高くなっている。最初は背が高いのだけが条件だったはずだが・・・。

「あら、あの人なんか、素敵じゃない?綺麗な顔~あんな人、うちの大学にいたっけ?」

圭子が倫の二の腕をばしばし叩いた。
倫が外に目を向けると、そこには九条薫が歩いていた。

「あ・・・」

きょろきょろと顔を動かしていたが、倫の姿をガラス越しに見つけると、近寄ってきた。

(こんにちは)

声は聞こえないが、口の動きで言っていることはわかる。
倫は焦ったが、とりあえず外へ出ようと立ち上がった。

「ちょ、ちょっと、あんた知り合いなの!?」
「圭子ちゃん、ごめん。また今度・・・。」
「やだー、紹介しなさいよお!」

また今度ね!と言い残して倫は去った。

何日ぶりだろう。
倫は忙しくて会えないでいたが、薫のことを忘れたことはなかった。

落ち着いたら本を返しにいかなくてはと思っていたが、向こうから会いにきてくれて、自分が思っていた以上に嬉しかった。
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