ラブ・スーパーノヴァ
薫はくすっと笑うと手を離した。

「意地っ張りだなぁ。まあ、そんなとこも可愛いけど。」

倫は年下の男に’可愛い’と言われムッとした。

「あのねえ、年上の人に向かって可愛いなんて、失礼よ。」
「実験ていつ終わるの?」
薫は倫の話を無視して言った。

「あのねえ・・・」
「国立天文台で観望会やってるんだ。今日はミザールとアルコルだって。行こうよ。」
「だから・・・」
「いいわねえ!行ってらっしゃいよ、倫。」

突然、圭子が話に入ってきた。どうやらさっきからずっと様子を伺っていたようである

「教授には私が適当に言っておくから。」
「あの、圭子ちゃん・・・」
「倫ちゃんのお友達ですか。初めまして。九条薫といいます。」

浜西圭子ですぅと甘ったるい声で圭子が言った。

「天体観測なんて素敵じゃない?倫、そういうの大好きだもんね!」

圭子の目は「合コンまで繋げろ」と言っている。

(この人は・・・)

倫は諦めた。圭子は言い出したら効かないのを良く知っている。

それに、正直なところ観望会にも惹かれていた。
ミザールとアルコル・・・おおぐま座か。見てみたいな。

「じゃあ、決まりだ。」

薫は圭子に、では失礼しますと言って強引に倫の手を引いていった。
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