ラブ・スーパーノヴァ
「・・・母さん」

薫に母さんと呼ばれた女性は、倫と圭子に目を向けると、一瞬眉をひそめ、その後作り笑いを浮かべた。

薫にそっくりだったが、目が薫より神経質に釣りあがって見える。

「あら・・・こちらは?学校のお友達?」

薫が少し表情を暗くして言った。

「小山田倫さんと浜西圭子さん。二人とも大学生で、ついこの間友達になったんだ。」

圭子は初めましてと言ったが、倫は何も言わなかった。

薫の母はどうも・・・と口もとだけを笑っているようにゆがめて言うと、もう一度お父様がお呼びですよと言った。

「ごめん、すぐに戻ってくるから、ちょっと待ってて。」

薫は二人にそう言って背を向けた。

薫の母は薫の背中に手を添えると、明らかに倫たちに聞こえるように言った。

「薫さん、お友達はちゃんと選んでくださいね。」

薫が振り向いて母を凝視した。

「・・・それはどういう意味ですか?」

薫の母はにこりと笑って言った。

「どういうって・・・深い意味はありませんよ。」

そう言ってその場を去っていった。

薫は眉をひそめ、目を閉じ、ため息をついた。

「ごめん、母は’ああいう’人なんだ。気に障ったら・・・ごめん。」

そう二人に謝り、すぐ戻るからと言ってその場を離れた。

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