ラブ・スーパーノヴァ
「な、何アレー!!むかつく~!超見下しじゃん!」

圭子は怒りをあらわにして、持っていたワイングラスのワインを一気に飲み干した。

「こうなったら飲むだけ飲んで、食べるだけ食べて帰ってやる!」

圭子は開き直って、テーブルに並んだ料理を取りに行った。

倫は遠くで父親らしき男性と話している薫を見つめた。

違う・・・違うんだよ、圭ちゃん。
やっぱり、私たち、どんなに着飾っても違うんだよ。

倫は薫と生活レベルがまるで違うと思い知らされた気がした。

そういえば、最初に出会った時に怒ってた女性・・・。あの人もすごい綺麗な格好してたもん。きっとどこかのお嬢様なんだろな・・・。

倫は本の入ったバッグを握り締めた。

これを・・・返して帰ろう。もう直接じゃなくていい。こっそり返して帰ろう。

倫は圭子に本を返したら帰ると言いにいった。

「圭ちゃん、あのね・・・」
「ねえねえ!倫!あの、あそこの男の人、さっきから私のこと見てるみたいなんだけどさあ。どうしよう。声かけてみるべき!?」

圭子は酒のせいか、すっかり上機嫌になっていた。

「あの、私・・・」
「あ!あ!ど、どうしよう!こっち来るよ!ねえ!ヤダ・・・」

30歳は超えているであろう、少し大人な雰囲気の男性に声をかけられ、圭子はすっかり舞い上がっており、倫の声は既に届いていないようであった。

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