ラブ・スーパーノヴァ
「ど・・・」

どうしたのと言おうとしたが、声が出せない。

薫が倫を見つめた。

薫の瞳は激しく何かを訴えかけていた。

倫は息を呑んだ。
こんな鬼気迫る薫を初めて目にしたからだった。

ざーっと雨の音が響く。

倫はハッとし、慌てて薫を家の中に入れた。
急いでバスタオルを持ってきて、薫の頭に被せる。

「一体どうし・・・」

その時、薫が右手に何か握っているのが見えた。

薫が右手を倫に差し出し、開いて見せる。

「・・・・!」

それはまさに今日、成明に見せてもらった倫と幸子と周一郎の写真だった。

倫は薫を仰ぎ見た。

「なんで・・・これを・・・」

あの部屋の仕掛けは成明しか知らないはずだった。

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