ラブ・スーパーノヴァ
薫が苦しそうに口を開いた。

「家に帰ってあの部屋に行ったら・・・いつもとなにかが違う感じがして、良く見渡したら本棚がずれてた。」

おそらく成明がきちんと戻さなかったのだろう。
もしくは仕掛け自体が老朽化していたのかもしれない。

毎日のようにあの部屋にいる薫にとって、少しの変化が違和感を覚えたのだろう。

あの仕掛けに気がつくまでにそう時間はかからなかったに違いなかった。

「・・・そんなことはどうでもいいんだ!」

薫が苦しげに尋ねる。

「君は・・・祖父の娘なんだね・・・?」

(知られた・・!!)

薫が倫の両腕を掴んで顔を覗き込んだ。

「これで・・・わかったよ。
君が何故あんなに俺を拒絶したのか・・・。」

薫の瞳は様々な感情がぶつかり合い、激しく燃えていた。

「私・・・」

倫は何て言ったら良いのかわからず、言葉を詰まらせた。

「・・・君の本当の気持ちを聞かせてくれ」

薫の低い声が響く。

倫が薫の瞳を見つめ返す。

「・・・本当の、気持ち?」

薫の髪から雨の雫がポタポタと落ち、頬を伝う。

「君が・・・俺のことをどう思っているのか・・・聞かせて」
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