恋はピンポンダッシュ!
「あいつが昨日、私の家に渡しに来たの。でも、変な書き込みをされてたのよ!」
夏季が主張している事というのは、夏季が書いたポエムの続きに、文章が書き加えられていた事だった。


―ひどく奥手な一方通行の恋…ピンポンダッシュ、そうかもね。―


「本当に、何なのよこれ!女の子のノート、勝手に見たあげく、こんな書き込みまで…」
しかし、イライラしている夏季だったが、一方では、この書き込みの内容は的を射ていると感じていた。
確かに、夏季は恋に奥手な女の子である。自分から、好きな男の子に想いを伝えようとは、通算三回の恋において全てしなかった。特に今回の恋も、さっさと自分の気持ちを伝えようとしないから、他の女の子に先を越されただけなのである。チャンスはあった。だらだらしていただけだと自分でもうすうす気付いていただけに、余りにも的確なこの感想が気に入らないのだ。
その時、
「でも…」
と、突然、圭織が夏季に問い掛けた。
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