恋はピンポンダッシュ!
夏季は、見山君伝いに飛んできた海斗の矢を読んだ。
〈謝れ、って事?じゃあ先に、転校生の俺より目立った事を謝ってくれよ!〉
―何よこれ!―
再び見山君伝いに海斗に矢が放たれる。
〈はいはい、ごめんごめんm(_ _)m…じゃあ、次、あんたの番ね。〉
…見山君伝いに夏季に矢が放たれる。(見山君は、『そろそろやめて、迷惑してるから』と言いたいのだが、でかい体の割りには気弱なので、その一言が言い出せないでいる。)
〈…(-.-)zzZ〉
―何なのよコイツうって、本当に眠たそうにしてるし!―
このままでは、埒が明かないと考えた夏季は、要点を絞って絞って、ようやく固まった言葉を書き上げ、紙飛行機にして、眠たそうにしてる海斗の頭を目掛けて見山君越しに投げ付けた。
もちろん、柔らかな紙の質なので、怪我をする事はないが、海斗の眠気を覚ますには十分だった。
「痛っ!」
さすがに海斗は、少し怒った顔をして夏季をにらみつけたが、夏季の書いた文章を読むと、しばらくそのまま固まってしまった。
< 16 / 29 >

この作品をシェア

pagetop