恋はピンポンダッシュ!
〈ピンポンダッシュされた事ってある?…私の気持ち、あんたに理解はできないわ、きっと。〉
海斗は、夏季のその文章を、少なくとも十分は眺めていただろうか。ひどく険しい表情をしている。その様子を見ていた夏季も、何か息が出来ない程の重苦しい気持ちになっていた。
そんな海斗が突然、その手紙の裏に、物凄い勢いで何かを書いて、それを紙飛行機にして、夏季のほうをにらみつけながらそれを投げ付ける構えを取った。
急な事で驚いた夏季が今度は、海斗の方を見つめながら固まってしまった。
―えっ、マジ!?仕返し?―
海斗が投げ動作に入り振りかぶる。
―きゃあっ!―
夏季は、たまらず目をつぶった。だが、夏季の予想と反して、目をつぶっている夏季の机の上に、コロコロと、くしゃくしゃに丸められた紙飛行機が転がってきた。
さすがに女の子に対してはまずいと思っての配慮なのか、紙飛行機として投げ付けられはしなかった。だが、そのくしゃくしゃに丸められた紙飛行機を開いた時、それをぶつけられた以上と推測されるショックを夏季は受けた。
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