恋はピンポンダッシュ!
〈じゃあ、お前は、ピンポンダッシュする奴の気持ち、理解できるのかよ。出来ないだろ?それと同じだよ!〉
このような文章を送りつけて来るなどとは、夏季にとっては想定外だった。
―な、何を書いてるのコイツ!?反論するには、少し強引過ぎる理屈だわ!―
夏季は、その手紙にあきれかえってしまって、とても、これ以上手紙を書く気にはなれなかった。そして、その日は海斗とそれ以上の接触はなかった。


放課後、夏季がカバンに教科書をしまい帰ろうとしていたその時、圭織が、驚いた顔をしながら、夏季の方へ駆け寄って来た。
「夏季ぃ~っ!大変、大変!」
「ど、どうしたの?圭織。あんたがそんなに興奮してるなんて、珍しいわね。」
夏季は、目をパチクリさせた。
「あの子、あの子!中村海斗!」
「…あいつが、どうしたの?」
「転校して来た元は、確かにS県なんだけど、驚くなかれ、元々は、ここ、Y県出身なんだって!」
「…それが?」
夏季はいまいち、圭織が言わんとしている事が、よく分からなかった。
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