恋はピンポンダッシュ!
「…悲しい。切ない。ピンポンダッシュな恋なんて、ロマンチックでも何でもないわ!どんな三流恋愛小説家でも題材になんかしないわよ!」
夏季は海斗に…いや、どちらかといえば、海斗が夏季のポエムに文章を書き加えた時と同じであろう気持ちで
―恋に苦しみ、しかしどうする事も出来なかった、今までの自分自身に対して言い放った。
「やめてくれ!」
海斗も、夏季に負けないぐらいの大声を張り上げた。そして、海斗の目からも涙があふれ出した。
「くっそーっ!何なんだよこれ!何でこうなるんだよ!引っ越しして、ピンポンダッシュしなくなって、自分の気持ち、心の奥にしまいこんで、それでもう終わりだと思ってたのに…再びこっちに戻って来たら、電車の中でお前を見かけて、あのノート拾って読んで傷ついて…そんな目に遭ったって言うのに、つっけんどんな態度でやり過ごす事さえ出来ないってのかよ!」
「…じゃあ、今後、あなたにとっては今回の事はやはり、悲しい、切ないだけのピンポンダッシュ?」
夏季は海斗に尋ねた。
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