ト リ コ
「何言ってんの? わけわかんない!」
「でもほら、俺はここの家主さんからここに住むように言われたわけだし」
「え? どういうこと?」
「ほら」
そう言って奥原さんは、あの時持っていた紙をわたしに渡した。
そこにはここの住所と、『ここに住んでください』と言う文字が確かに華頼の丸字で書かれている。
「うそ……でも許されるわけ」
「急に追い出された俺も一応被害者なわけだし、それにさ、オムライス美味しかったでしょ?」
「それは、まあ……」
「ご飯係ってことで、ね?」
顔色を伺うように、奥原さんが高い身長を縮めてあたしの顔を覗き込む。
奥原さんはけっこうイケメンだし、料理もうまいし、家事もしてくれそうだし……
華頼関係と思ったらムカつくけど、そういう意味じゃアリかもしれない。
「……あたしお風呂入ってくるから」
「覗きません。女子高生には興味無いから」
その言い方はちょっとイラッときたけど、まあいいや。
今日はいろいろと疲れた。
あたしは脱衣所まで早歩きでむかった。