ト リ コ
ピピピピ、ピピピピ……
「ん~……」
目覚ましを止める。今日は寝坊してないな。
起きたらやっぱり一人だった。
昨日奥原さんがいたことを忘れるような孤独。
部屋の中は灰色の空気に満ちているような感じで、どんよりとしていた。
多分きょうが曇りだからなんだろうけど。
「あ……」
テーブルには置手紙と一緒に、卵焼きとベーコンを焼いたかんたんな朝ごはんが用意されていた。
置手紙には……
「『八時には帰ると思います。寝坊したからお弁当は用意出来なかった。ごめんなさい 準一』……か」
この角ばった字が奥原さんのものだってのはわかりきったことだ。
けっこうキレイな字書くじゃん。
かわいくはないけど。