眠れない、キミの夜
「坂本 ユラ様で いらっしゃいますか?」



自分の名前が呼ばれ 声のした方向を見る



ドアマン?



「はい…」



力のない 小さな声で返す



周りから見ると 今の私は さぞ暗いだろう


でも そんな事を気にする余裕すらない自分がいた



「あの 1005号室の方から お通しするよう言われておりますので どうぞ」



ドアマンの明るく 少し大きめな声が 勘に触る



にこやかな顔も 無視したいぐらい
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