フランシーヌ
１　白の葬列
ドクロだ…。

三番街のオープンカフェで遅いブランチをとっているジョーの左目は、今日もドクロを映していた。

ぴったりと寄り添って通りを歩く恋人たちや、緑地帯の噴水広場でたわむれる家族連れの姿に、白骨化したドクロの映像が不自然に重なっている。

信号が変わっていっせいにスクランブル交差点に歩み出る人の群は、まるでドクロの葬列だ。

ジョーの左目は特別だった。

人間を見ると、その人間の生まれた時から死ぬまでの姿が、透明なセロファンに描いたパラパラ漫画を重ねたようにだぶって見えるのだ。

その人が一生かかって変化していく様子が、そのまま重なって見えるのである。

だから、ドクロになる少し前の顔を見ると、その人がどのくらいの寿命なのかもわかってしまう。
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