フランシーヌ
それは、真っ赤なキャミソールを着た、まだ十二、三の少女だった。

金色の髪を側頭部で二つにくくり、蝶の羽根のようなリボンで飾っている。

大きな目とサクランボ色の唇。

頬のあたりのやわらかな肉に幼さの残る、利発そうな女の子だった。

少女は、振り返ったジョーに満足そうに微笑むと、視線を近くの大衆に戻し、せいいっぱいの声を張り上げて、この戦争がどんなに哀しく、辛く、無意味なものであるかを、理路整然と説いた。

それは、彼女の見かけの幼さと、少し舌足らずな口調からは想像もできないほどの、正当な論理だった。

いや、彼女の外見が幼く、無垢であればあるほどに、そのまっすぐな主張は共感を呼び、人々を煽動しうるのだろう。
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