フランシーヌ
「どうなんだね?」

待ちきれずに、軍務総長がジョーを促した。

ジョーは、深いため息をつくと片手でオペレータへの通話のコントロールスイッチを指さした。

すぐに軍務総長はジョーの意図を察知して、そのまま待機するようオペレータに命じ、通話を切った。

「実は、街の様子を少し見たところで、わかっていました。跡形もなく蒸発してしまう子供たち…。半分溶けかかった姿で断末魔の悲鳴を上げる人たち…。ケロイドになった体を冷やそうと川に殺到する人たち…」

軍務総長は、顔色を失い、ソファの背にドサリと体重を預けた。

「やはり…そうなのかね?」

「今のところ、三カ所に影をみつけました。道路に映った消火栓の影。病院の壁に写った銃を乱射する兵士。そして、レストランの出窓の下で泣いている少年」

「そうか。いや、ご苦労だった」
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