フランシーヌ
「…なにを、視てきたの?」

ジョーは、静かにかぶりを振った。

「君には言えない」

「それ、どういう意味? あたしが、反戦運動をしてるから? それとも、子供だから?」

「君の親父さんが…。戻ってこいって言ってた。もう、反対しないって」

フランシーヌは、愕然として出窓にもたれかかった。

「あの人が折れるなんて…。もう、未来はないってことなのかしら…」

「顔を見せるだけでも、してあげたらいい。あの人は、立派な人だよ」

「でも! 戦争を起こした張本人だわ!」

「あの人が仕掛けた戦争じゃないよ」

「もっと早い段階で終わらせることができたのに、大国の顔色をうかがって、戦争で利益を得る人たちのエゴに振り回されて、戦局を見誤ったんだわ! それにママだって…」
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