フランシーヌ
ジョーは、喉の奥で低く笑った。

「父親が許せないから反戦運動を始めた? だけど、カリスマに祭り上げられて、引くに引けなくなったから突っ張っている…。オレにはそう見えるな」

フランシーヌは、バン! と出窓の桟を叩いた。

「あなたになにがわかるの! 地球がこんな状況になったのも、パパのせいかもしれないのよ? なのに、あたしは、全てを与えられた箱船でのうのうとしている…。そんなの、許せない!」

「それが、運動をする理由?」

「だって、じっとしていられないじゃない! 人類がみすみす滅びへの道を走っているのに、あなたはただ視てるだけなの? あたしはそんなのがまんできない。なにかできることがあるはずよ。自分にできることがあるのに、諦めて行動しないなんて、そんなの、自分が自分でなくなっちゃうわ!」
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