フランシーヌ
いつも、フランシーヌの時間は止まって視えていた。

ただ、赤いゆらぎに包まれているだけだった。

このコロニーに暮らす人間の、ほぼ全てが、白いドクロの未来を顔面にはりつけていたのに、彼女だけが異質だった。

だから、彼女に興味を持ったのだ。

それは、このコロニーを脱出するという意味だったのだろうか?

突然、電話が鳴った。

ジョーは、飛び上がって驚いて、ポケットの携帯を出した。

『君に預かっているものがある』

軍務総長だった。

彼も恐らく、自分の娘の電波ジャックを見ていることだろう。

「フランシーヌは、なにをするつもりなんですか?」

『イスカ-13を、墜とすつもりだ』

「墜とす? 人工衛星を?」
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