フランシーヌ
「それは…」

ジョーは、否定できなかった。

このコロニーの住人たちが白いドクロになる未来も、そう遠くはないのだ。

『正直ね。でも、あなたと抱き合って迎える最期も、悪くなかったかな…』

「フランシーヌ…」

『愛してるわ、ジョー。あなたの苦しみを救ってあげられなくてごめんなさい。愛する人の痛みさえ和らげてあげられないあたしに、どれだけのことができるかわからないけど、でも、行くわ…』

ジョーの握りしめた拳がわなないた。

爪が掌に食い込んで、鮮血が床にしたたり落ちる。

「軍務総長…」

背を向けたまま、低く、ジョーは言った。

「行けと言ってもいいですか? 彼女に、迷うなと、自分の道を信じろと言っても…いいでしょうか…?」
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