フランシーヌ
「一時の感傷に流されないでくれたまえ。あの子は、君に止めてもらいたいのだ。そして、今ならまだ、間に合う。ヒロイズムは何も生み出さん。頭を冷やすよう説得してくれ!」

「それでも、早いか遅いかだけの違いなんですよ…。彼女は、この箱船が沈むことを知っているんです」

「沈む? ノアになにが起こるというのだ?」

ジョーは、マイクに向き直った。

「フランシーヌ」

『うん?』

「赤道直下の海は、暖かくて、温泉気分だぞ」

『いつか話してくれたオンセンみたいな海ね?』

「もし、戻ってきてくれるなら、この箱船が沈むまで、いっしょに暮らそう。でも、それは君の意志に任せる。オレは、止めないよ」

「石動くんっ!」
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