フランシーヌ
軍務総長が、ジョーにつかみかかった。

「すみません。オレ、彼女と代われたらよかったんですけど…」

軍務総長は、ガクリと床に膝をついた。

『ありがとう…。ジョー。あなたに会えてよかった…』

その言葉を残して、小型艇からの通信が途絶えた。

同時に、イスカ-13を映し出していた映像が切り替わり、フランシーヌの姿が画面に蘇る。少女は、毅然としていた。

司令部の面々は、皆、声もなく、画面に映し出される少女の表情に見入っていた。

『わたしの母は、父の政敵と組んだテロリストによって殺されました。

わたしは、父を長いこと許せませんでした。

でも、今ならわかります。

ありがとう、お父さん。わたしを、この世に生みだしてくれて…。

妻を人質に取られてもあなたが決して連合国への爆撃を容認しなかったように、わたしも地球を核から護ります』
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