流れ星に願いを 〜戦国遊戯2〜
朝、目が覚めると、玲子の姿はなく、少しだけ寂しそうな顔をした幸村の姿があった。

「…れいちゃんは?」

おはようの挨拶よりも、玲子の姿が見えないことに不安を抱いた私は、少しだけ泣きそうになりながら聞いてみた。

「あぁ、幸姫。起きたのか。おはよう」

にこっと優しく笑う幸村に、私はぽてぽてと歩いて近づくと、ギュッと抱きついた。

「…おはよう」

不安げな私の声に、幸村は少しだけ困ったような表情を浮かべた。

「玲子は毛利殿と一緒に出かけたんだ」

幸村の言葉に、首をかしげた。

「あきちゃんは?」

聞くと、幸村が置いてあったもう1つのベッドを指差した。

「あ…」

一瞬、亜姫のところに駆け寄ろうとしたが、亜姫がまだぐっすり寝ていることに気づいたので、そのまま幸村の膝の上でじっとしていた。

「れいちゃん、いつかえってくるの?」

幸村はうーん、と唸ると、わからない、と首を横にふった。

「せっかく楽しみにしていた旅なのだが、玲子が先に帰っていろと言っていたんだが…」

幸村の言葉に、思わず目を大きく見開いた。

「やだ」

一言だけ、しっかりと強調するように答えた。

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