流れ星に願いを 〜戦国遊戯2〜
「ごめんね、幸姫。お仕事終わったらすぐに戻ってくるから」

玲子はほんとにすまなそうな顔で、幸姫を幼稚園に送り届けると、慌てた様子で会社へと向かっていった。

「………」

走り去っていく玲子の後ろ姿から、視線を外す。少し項垂れた様子で、幼稚園の運動場の方に向く。そこには沢山の友達と、その家族で溢れていた。


…れいちゃん、またもどってくるもん。


ぼぅっと眺めていると、後ろからきた誰かがぶつかってきた。

「あっ…かおるちゃん。おはよ」

「あんたのママはやっぱりこないんだ」

馨の一言に、幸姫はズキンと胸の奥に痛みを感じた。

「…れいちゃん、おしごとだから。でも、すぐにきてくれるもん」

泣きそうになるのをぐっとこらえて言い返す。

「ふぅん?ま、あんたのママがきてもこなくても、かおるはママもパパもきてくれてるから」

勝ち誇ったように言い捨てて、少し先で手招きをしている両親の元へと走って行った。

「…れいちゃん、すぐにくるんだもん!」


ないちゃだめ。
だってれいちゃんはちゃんときてくれるもん。

…やくそく、したんだもん。


「うぇ…っく」

必死で涙を拭うが、溢れてくるそれを止めることができなかった。

< 155 / 219 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop