流れ星に願いを 〜戦国遊戯2〜
「あの…お二人は青柳さんとはどういうご関係なんですか?」

悠斗の言葉に、一瞬、あたりがしん…と静まり返った。

「え?」

突然の質問の内容と、それまでがやがやと騒がしかったあたりが、悠斗の一言で静かになったこととで、幸村は少しだけ動揺した。

「この数日、真田さんは青柳さんのお宅にやっかいになっていらっしゃったようですし。その…幸姫ちゃんのお父さんなのかなって…思ったんですが」

悠斗の言葉に、幸姫は少し反応した。


ゆきむらは…ぱぱじゃない……


「それは…」

幸姫に本当のことを言いたい。自分が父親だと名乗ってやりたいし、名乗りたい。玲子の友人ではなく、家族なのだと言ってやりたい。

幸姫自身、父親に会うことを強く望んでいた。その願いを叶えてやりたい。

しかし、いつかは帰らなくてはならない。
どれだけこちらの世界に大切なものがあるとしても。
自分には、守らなくてはならない、命に代えてでも守らなくてはならない主君がいる。

そして、玲子が言うには、近いうちに別れはやってくる。
すぐに会えなくなることが分かっている。

だから、幸姫には。
自分が父親であることを、打ち明けることなどできないのだ。

「若…」

幸村の辛そうな表情に、佐助はそっと、肩に手を置いた。

「玲子のシンセキですよ。玲子のご両親が来られないので、代わりに俺たちが来たんです。お弁当忘れてましたし。な、幸姫」

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