流れ星に願いを 〜戦国遊戯2〜
幸姫の体が震える。
男性の首のすぐ側にある刃物が、月明かりで鈍く光り、不気味さを増す。

「だ…だめなのー!」

肩を小刻みに震わせながらも、必死で声を出して叫んだ。
周りにいた人間も、男性も、みな、幸姫の方を向く。

「あ、あぶないから…だから…」


怖い。


恐怖が全身を支配する。

「けがするの。だから…」

気づけば涙がぽろぽろとこぼれていた。
今にも消え入りそうな声で、だけど必死で何かを止めなくてはと思い、叫んでいた。

「だめなのー!」

わぁっと目をぎゅっとつむって、刀を突きつけている人間の足元にタックルをする。

「ちっ……」

面倒くさそうに舌打ちをすると、男は幸姫のおなかを蹴り上げた。

「クソ餓鬼が。テメーから先に殺してやろうか!」


目の前が一瞬、真っ暗になった。
痛みと恐怖で、泣くことすら忘れていた。
ずさっと地面で頬と腕をすりむく。

じわりと赤く、血がにじんだ。

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