流れ星に願いを 〜戦国遊戯2〜
暫くして、幸姫は目をごしごしとこすって、にっこりと笑って言った。

「れいちゃんがまってるから、おうちにかえるね」

「…あぁ」

ズキン、と、幸姫の笑顔に、幸村は胸が痛んだ。
幸姫は幸村の手を引いて、もと来た場所へと戻っていく。

元気よく歩いていた、幸姫の足取りも、あの穴が近づいてくるにつれ、どんどんと遅くなっていく。


ゆきむら、またあえるもん。
いっしょにいられなくても、また、こうきがあいにいけばいいんだもん。


ぎゅっと、つないでいる手に力が入る。
はっとして、幸姫のほうを見ると、必死で何かをこらえているような、そんな表情を浮かべているのを見て、幸村は、心臓の奥を掴まれたような気がした。

「ゆきむらは、こんどいつあえるの?」

にっこりと笑って聞いてくる幸姫に、幸村は口を開いては閉ざし、何も答えることが出来なかった。

「じゃ…じゃぁ、こうきがあそびにいってもいい?」

そう聞いてくる幸姫に、幸村はただ俯き、何も答えることが出来なかった。

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