流れ星に願いを 〜戦国遊戯2〜
エピローグ
その後暫くの間、雨に打たれたせいもあってか、幸姫は高熱を出して1週間ほど寝込んだ。

虚ろな表情で、時折目をうっすらと開けるが、すぐにまた、目を閉じてはうなされ、それをずっと繰り返していた。

顔を真っ赤にして、辛そうに息をする幸姫の姿を見て、玲子は悔やんでいた。


あのとき、ゆっきーが父親だなんて口にしなければ、こんなことには…


幸姫を連れて、家に帰ると、いるはずの幸村と佐助の姿はなく、なぜか早坂がいた。

「留守番を頼まれて…」

早坂の言葉を聞いて、幸姫の必死のあの行動も、泣きながらパパと叫んでいたことも。
すべて理由がわかった。


…もう2度と会えないと思っていたのに。
会えたことが奇跡だったのに。

残される方の気持ちも、こんなに辛いなんて。


幸姫の頭に乗せたタオルを、冷たいものに取り替える。


「ごめんね、幸姫」

自然と涙がこぼれた。

ずっと辛い思いをさせていた。
ずっと寂しい思いをさせていた。


幸村という、父親の存在を知った瞬間。


今度は別れのときがきた。

そして、きっと。
もう2度と会えない。


「本当に…本当にごめんね」

泣きながらそっと、幸姫を抱き締めた。


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