流れ星に願いを 〜戦国遊戯2〜
幸姫は急いで寝室向かった。部屋に入ると、おいてある衣装ケースから、ハンドタオル探し出した。小さなものを1枚手に取ると、また急いでリビングへと戻った。小さなハンドタオルで、玲子と幸村の涙を拭ってあげた。

「どうしてないてるの?」

幸姫に言われて2人ははっとして、慌てて抱きしめていた手を解いた。玲子は苦笑いしながら幸姫の頭を撫でた。

「ごめんね?嬉しくって」

玲子の答えに、幸姫は首を傾げる。

「うれしいのにないたの?」

幸姫が聞くと、玲子は苦笑いしながら頷いた。

「うん。人はね、辛いときや悲しいときに泣くけど、嬉しいときにも涙がでてくることがあるのよ」

玲子がそう言うと、幸姫はふぅんと答えた。

「じゃぁ、ゆきむらもうれしいの?」

幸姫に聞かれて、幸村も少し苦笑いしながら答えた。

「あぁ、そうだな。玲子に会えて、本当に嬉しいんだ」

そう言うと、少し頬を赤く染めながら、幸村は玲子の方を見た。玲子も、幸村の顔を見て、頬を赤く染めながら微笑んだ。

優しく笑う2人に、幸姫もなんだか嬉しくなり、笑った。

幸村は、ひょいっと幸姫を抱き上げると、自分の足の上にちょこんと座らせた。急にどうしたのかと、びっくりして幸姫は幸村の方を見た。すると、幸村は複雑そうな表情で幸姫のことを見ていた。

「なあ、玲子。コウキは玲子が母だと言っていたのだが、本当か?」

聞かれて玲子はこくんと頷いた。そのときの玲子の表情も、少しばかり複雑そうな顔をしているように見えた。

「…幸せに暮らしているようでなによりだ」

少しばかり切なそうな顔で幸村が言うと、玲子は決心したような表情で、幸村に言った。

「幸姫の名前。どんな字を書くと思う?」
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