流れ星に願いを 〜戦国遊戯2〜
聞かれて幸村は首をふった。玲子は深呼吸をして言葉を続けた。

「幸せの姫って書くの」

言われて幸村ははっとした表情をする。玲子は肩をすくめながら言った。

「ゆっきーの名前から一文字もらったの。幸村に幸に、私とゆっきーのお姫様。だから幸せの姫と書いて幸姫」

その言葉に幸村は驚いた顔をする。

「はは…まさか。本当に俺の子なのか?」

幸村に言われて、玲子は何も言わず、ただ、黙ってこくんと頷いた。

「コウキ、幸姫!良い名だ!しかもとても良い子だ!さすが俺と玲子の子だ!」

幸村は叫びながら幸姫の頭をぐしゃぐしゃっと撫でた。幸姫は急に頭を撫でられてびっくりする。

「でも、どうやってこっちにきたの?」

玲子はワールドヒストリという【ゲーム】をしていてこっちに迷い込んだのだ。今回は、幸村がこっちの世界へやってきている。向こうの世界で何かきっかけになるようなことがあったはずなのだが。

「それが…」

幸村も良くわからない、といった風に答える。向こうの世界で幸姫に出会ったこと、そして、幸姫を家に送り届けようとついてきたら、いつの間にかこちらの世界に来ていたこと。幸村は今までのことを全て説明した。

「穴…見に行ってみよう」

玲子が言うと、幸村は頷いた。幸姫がきょとんとした顔をしていると、玲子が幸姫ににこっと笑って言った。

「今からお散歩に行こうか」

言われて幸姫は幸村の方を見た。

「ゆきむらもいっしょに行く?」

聞かれて幸村はあぁ、と笑って答えた。幸姫の表情はぱあっと明るくなる。

「じゃぁ行く!」

そう言うと、幸姫はばたばたと玄関の方へと走っていった。靴を出して、一生懸命自分で履いていると、少しして、笑いながら玲子と幸村が玄関までやってきた。

「はやくはやく!」

幸姫にせかされて、玲子と幸村ははいはい、と靴を履きながら微笑んだ。
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