流れ星に願いを 〜戦国遊戯2〜
脱衣所に着くと、幸姫はばばっと自分の着ていた服を全部脱いで、風呂場に入っていった。幸姫に続いて、幸村も服を脱いでお風呂に入ってくる。幸姫はきゃっきゃとはしゃぎながら、小さな手で桶にお湯を汲んで、幸村にかけてあげた。

「おゆかげんはどうですか?」

いつも玲子に聞かれているのをまねて、幸姫が幸村に聞いた。すると、幸村はにっこりと笑って、とてもよい、と答えた。

いつものように、幸姫は自分の体にもお湯をかけると、側に置いてあったシャンプーハットを手に取り、頭に取り付けた。幸村が不思議そうに幸姫に尋ねてくる。

「幸姫、それはなんだ?」

聞かれて、幸姫は答えた。

「ぼうし!」

変わった帽子だな、と幸村が言うと、幸姫は幸村の前にしゃがみこんだ。幸村が一体どうしたのかと首をかしげていると、玲子が水着を着てお風呂場に入ってきた。

「ゆっきー、幸姫の頭にお湯をかけてあげてくれる?」

玲子の姿を見て、一瞬固まる幸村。玲子は少し恥ずかしそうな表情で、幸村の肩をばしばしと叩いた。

「やだ、ゆっきー。あんまりじろじろ見ないでよ!」

言われてはっとする幸村。桶を手に持つと、ためてあるお湯を幸姫の頭にざばっとかけた。

「幸姫、頭洗うわよー」

玲子はそう言うと、シャンプーの入った容器を軽く押して液体を手に取ると、幸姫の頭をわしゃわしゃと洗い出した。幸姫の頭に見る見る泡ができていくのを見て、幸村は驚く。

「なんだそれは!」

玲子は笑いながら、答えた。

「これはねシャンプー。頭を洗うためのものなの」

洗い終わると、湯船に残っているお湯の量を見て、少し少なくなっていたので、玲子はシャワーの蛇口を捻った。壁にかけてあったシャワーから、お湯が勢いよく飛び出してくる。それに幸村は驚き、体をびくんとさせる。玲子はシャワーを手に取ると、幸姫の頭にかけて洗い流した。

「これは、シャワー。ここを捻ると、お湯がでてくるんだよ」

少しくすくすと笑いながら、玲子が説明する。


れいちゃん、だれに言ってるのかな。


幸姫でも知っているようなことを、わざわざ玲子が説明している。一体、何でそんなことを説明しているんだろうと、幸姫は不思議に思った。
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