流れ星に願いを 〜戦国遊戯2〜
「ほら、ゆっきーも食べなよ」

ぶすっとした顔で幸姫を抱きかかえたまま、お箸を持とうとしない幸村に、玲子は必死で笑いをこらえながら言った。幸姫は首を傾げながら幸村の方を見る。

「ごはんたべないの?れいちゃんのハンバーグおいしいよ?」

そう言って、幸姫はフォークで小さくハンバーグを切り分けながら添えられている茹でたにんじんやブロッコリーも一緒に、おいしそうに食べていく。

「…ゆうきとは、幸姫の友人なのか」

ひとしきり笑い、落ち着いた玲子がゆうきの正体を教えてくれた。そして、おままごとがどういった遊びなのかも。

「しかし、幸姫はゆうきが好きだと言っていたぞ?ゆうきとはその…」

言いにくそうにしながらお箸を手に取る幸村に、玲子は飲んでいたお茶を噴出しそうになるのをこらえながら答えた。

「あのねー、ゆっきー。幸姫はまだ5歳なんだよ?」

そう言われて、幸村は少しだけ視線を幸姫に落とした。

「しかし…」

納得できない、といった声で答えると、玲子は小さく息をつくと、お箸を置いて、幸姫に聞いた。

「ね、幸姫。私のこと、好き?」

突然の問いかけに、幸姫は少しばかりきょとんとした顔をするが、こくんと頷いて答えた。

「うん、すき」

うんうん、と笑って頷くと、それじゃ、と続けて聞いた。

「ゆっきーのことは?」

少し幸村の体がぴくりと動いた。緊張した面持ちで、幸姫の方を見る。

「ゆきむらもすき!」

にっこりと笑って大きな声で答えると、玲子はそっか、と笑った。

「ね?こういうこと。幸姫にとって、ゆっきーもゆうきくんも一緒なんだよ」

「む…それはそれでなんだか納得がいかんな…」

そう言うと、玲子はまたくすくすと笑った。

「ほんと、ゆっきーってば親ばかだよね」

「なんだ?」

「ううん。何でも」

2人のやり取りを不思議そうに幸姫は眺めていた。
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