流れ星に願いを 〜戦国遊戯2〜
土曜日。

天気はこれでもかというくらいの快晴で、絶好のお出かけ日和となった。

「れいちゃん、はやく!」

さすがに戦国時代から来たままの格好では、外を歩くには目立ちすぎるということで、玲子は昨日、服と靴を一式買い揃えてきていて、今は幸村のスニーカーの紐を結んでいるところだった。

「もうすぐできるから、ちょっと待って。…はい!完成!いいよ、ゆっきー」

幸村は立ち上がると、今までに無い感覚で少しだけ妙な顔をしていた。

「はやくはやく!」

「はいはい」

幸姫にせかされて、2人も家を出る。玲子が鍵をかけていると、隣の家のドアが開いた。

「あ、幸姫ちゃん。今日はお出かけかな?」

「うん!ゆきむらと3人でおでかけするの!」

幸姫が嬉しそうに答えると、早坂は首をかしげた。

「ゆきむら?」

そう言って、視線を幸姫から上に持ち上げた。すると、そこには、玲子と見知らぬ男の姿があるのに気づいた。一瞬、眉がよった。

「あ、早坂さん。おはようございます」

「あぁ…おはようございます。今日はお出かけですか?」

少しうわずったような声で聞くと、玲子が少し苦笑いしながらえぇ、と答えた。

「れいちゃん、ゆきむら、はやくはやく!」

ばたばたとその場で足踏みをしながら、幸姫は2人をせかす。

「それじゃぁ、すみません。行ってきます」

軽く会釈をしながら玲子が幸姫の手を握って、そそくさとエレベーターへと向かった。

「おじちゃん、いってきまーす!」

幸姫はにこっと笑って、手を振りながらそのまま玲子に手を引かれて、到着したエレベーターに、幸村と乗り込んだ。
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