流れ星に願いを 〜戦国遊戯2〜
改札を出て大きな階段を横切り、駅の構内を出ると、目の前には数台のバスが並んでいた。

「れいちゃん!バスがいっぱい!」

思わずはしゃぐ幸姫。幸村の腕から飛び降りて、パタパタと走り始める。

「こら、幸姫!走っちゃ危な…あ!」

玲子の声と同時に、幸姫はしりもちをついた。

「ごめんなさい!」

駆け寄ってくる玲子。幸姫も、ふと来る前に同じことで怒られたことを思い出し、小さくごめんなさい、と呟いて下を向いた。

「ええよええよ。子供は元気やからしゃーない。お母さんも大変やなぁ」

言われて、玲子は少し苦笑した。

「お嬢ちゃん」

ぶつかった男の人が、幸姫の頭を撫でながら言った。

「元気なのはええことやけど、あんまりお母さんに心配かけたらあかんで?転んで怪我でもしたらたいへんやろ?」

言われてしょんぼりとする幸姫。その表情を見た男は優しく微笑みながらまた、頭を撫でた。

「ま、子供は元気が一番や。おにいちゃんと一緒に、記念に写真でもとるか?」

言われて幸姫はきょとんとした。

「あぁ!」

玲子の声に、幸姫と幸村はびっくりして、思わず玲子の方を見た。

「どこかでみたことある気がしてたけど…もしかして、高松さんじゃないですか?」

玲子の言葉に、苦笑いしながら男は頷いた。

「幸姫!ほら、一緒に写真とってもらいな!後で希美に送ってあげなくっちゃ」

わけがわからないままじっとしていると、高松が幸姫を抱き上げた。びっくりしていると、高松が変な顔をしてきたので、思わず幸姫は笑った。

「はい、チーズ!」

カシャっという音がすると、玲子は携帯の画面を見て頷いていた。

「綺麗に撮れた!」

画面を覗き込んだ幸村も、微笑みながら頷いた。

「あぁ、幸姫が可愛く写っている」
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