流れ星に願いを 〜戦国遊戯2〜
気が付けば、薄暗い部屋の中だった。重い頭を持ち上げて、あたりをきょろきょろ見てみると、一人の女の子が倒れているのに気づいた。幸姫はそっと女の子の近くにいく。

「…ねぇ、大丈夫?」

とんとん、と少女の肩を叩いてみる。

「うぅ……」

少女の眉が少し寄った。

「大丈夫?」

両手で少女を揺さぶってみる。

「う…ん……」

少女が薄く目を開けた。幸姫は顔を覗き込みながら、もう一度声をかけてみた。

「大丈夫?」

「きゃぁ!」

幸姫の顔を見て、少女は驚く幸姫もびっくりして思わず体をびくんとさせる。
少女は少し涙ぐんだ目をしながら、幸姫の顔を見た。

「誰?」

首を少し傾げながら、少女が聞いてきた。

「わたしのなまえはこうき。あなたは?」

答えると、少女は少し戸惑いがちに答えた。

「わたしはあき。もしかして…さっきかおるってよんだ人?」

そういえば、亜姫の声は馨の声に似ている、と思ったことを、幸姫は思い出す。

「うん。ねぇ、どうしてこんなところにいるの?」

幸姫が聞くと、亜姫はまた、少し泣きそうな顔になりながら答える。

「…きゅうにしらんおっちゃんに、むりやりくるまにのせられてん。きがついたときにはここにおった」

「そうなんだ」

「こうきは?」

亜姫に聞かれて、幸姫は首を横にふった。

「わたしは…れいちゃんとゆきむらといっしょにいたの。でも、きゅうにまっくらになって、きがついたらここにいたの」

困った、という表情を浮かべる。

「パパのところにかえりたい」

亜姫がうっと泣き出した。幸姫は少し困った顔をする。

「…なかないで。きっとれいちゃんがたすけにきてくれるから」

幸姫の言葉に、亜姫は首をぶんぶんとふった。


< 69 / 219 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop