流れ星に願いを 〜戦国遊戯2〜
泣き止まない亜姫に、幸姫はどうしようかと悩んだ。
本当は、自分も玲子や幸村とはぐれてしまったこの状況が辛くて、泣きたい気持ちでいっぱいだったが、今ここで泣いてはいけないと、なんとなくそう思ったのだ。


れいちゃんがいってたもん。わたしがこまってたら、かならずたすけてあげるって。


玲子の言葉を信じて、幸姫は亜姫を励ました。

「あきちゃんはなにしてたの?」

ひとしきり泣いて、少しすっきりとしたのか、亜姫は幸姫の質問に、答えた。

「パパといっしょにおてらさんにいっとった」

「おてらさん?」

「うん。きよみずでら」

清水寺。

その言葉を聞いて、幸姫はあっと小さく声を漏らした。

「どないしたん?」

亜姫に聞かれて、幸姫は自分も清水寺にいたことを伝える。

「おんなじところにおったんやな」

目を大きく見開いて、亜姫は驚いた。幸姫も少し興奮したように驚く。

「おてらさんでなにかあったんかな」

亜姫が呟くと、幸姫はさぁ…と首を傾けた。

「なぁ、こうきはどこからきたん?」

亜姫に聞かれて、東京、と答えると、亜姫は目を輝かせながらあれこれといろんなことを聞いてきた。2人は最初の恐怖心はどこかへいったようで、しばらくの間、お喋りに夢中になっていた。
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