流れ星に願いを 〜戦国遊戯2〜
「亜姫!」

幸村の後ろから、亜姫と幸姫の名前を呼ぶ人の姿があった。亜姫は呼ばれて、バッと顔をあげると、泣きながらその人物の方へと走り寄って行った。

「パパぁ!」

「幸姫!」

その後ろから、今度は玲子が走ってくる。幸村の腕に抱かれている幸姫にギュッと抱きついた。

「よかった、無事だったのね!ほんとによかった…!」

「れいちゃん、ごめんなさい」

泣きながら幸姫が謝る。不思議そうに玲子は首を傾げた。

「どうして?」

玲子に聞かれて、幸姫はまた泣き出した。

「れいちゃんにはしっちゃだめって…ひっ…いわれ…て…」

俯きながらぽろぽろと涙をこぼす。

「おててつないでたのに…はなして…ったから…」

自分が玲子の言いつけを守らなかったから。だからこんなことになったのだ。

幸姫はそう思っていた。

「…幸姫」

玲子の優しい声が聞こえてくる。

「もう、走ったりしちゃダメだよ?ちゃんと、おててつないで、歩くんだよ?」

玲子の方を見る。
そこにはいつもの玲子の笑顔があった。

「ごめんなさい!ごめんなさい!」

幸姫は何度も謝りながら玲子にしがみついた。玲子は、うっすらと浮かんだ涙をぬぐいながら、ギュッと、幸姫を抱きしめた。
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