流れ星に願いを 〜戦国遊戯2〜
「とにかく、早くここから離れよう!」

玲子の言葉に、幸村と正弘は頷いた。

「そう、急がずともよいではないか」

後ろからかけられた声に、思わず玲子は体が硬直した。


嘘よ。こんなところで…そんな、まさか…


怖くて振り返ることができない。

「そこに居るのは武田の小童ではないか。なぜお前がここにいるのかは気になるところだが…まぁよいわ」

くつくつと笑う声の主に、正弘は真青な顔をして呟いた。

「信長…どうしてここに…!?」

その言葉に、玲子ははじかれるように顔を声の主へと向けた。
見覚えのある顔、体。身につけている服は、着物ではなく、現代の洋服だったが、目の前の男がかもしだしている独特の威圧感は、まぎれもなく、戦国時代に出会ったあの信長のものだった。

まるで昨日のことのように、昔の記憶が甦ってくる。

「玲子よ、久しいの」

名前を呼ばれて、玲子の喉がごくりとなった。

「なぜ…青柳さんのことを…?」

眉をひそめながら、ちらりと正弘は玲子を見た。玲子は真青な顔をして、じっと信長を見つめていた。

「そう、ね。お久しぶり」

必死で声を絞り出し、玲子はそう呟いた。
< 95 / 219 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop