流れ星に願いを 〜戦国遊戯2〜
額に浮き上がる汗に、いつもと少し様子の違っている玲子を見て、幸姫はその視線の先の人物と母を交互に見やった。すっと幸村が、まるで玲子を庇うように、間に割って入る。

「………」

相変わらず、といった表情で、信長がにたりと笑った。玲子は思わず体をぶるっと震わせる。

「あなたがなぜここにいるの」

かすれた声で、玲子が聞く。信長は相変わらずの表情で答える。

「玲子が来ることができたのだ。こちらから出向くことができぬはずがなかろう?」

信長の答えに、玲子は眉をひそめる。


そんな…簡単な話じゃない。だって、本当にそれが自由にできるとすれば…


パンクしそうな脳みそを一生懸命働かせていると、正弘が玲子に意を決した表情で聞いてきた。

「なぜ、あなたは信長のことを知っているんです?」

「…ワールドヒストリの生き残りだから…」

玲子の言葉に、正弘は意味が分からず、一瞬、え?と首をかしげたが、すぐに玲子の言った言葉の意味を理解した。

「君が…あの……!」

玲子がこの世界で目を覚ましてしばらくの間は、いろんなマスコミ達が、失踪事件とワールドヒストリの関連性について取り上げていて、玲子は唯一の生存者として、顔写真まで出回っていたのを思い出した。

「これは…偶然なのか…?」

困惑した表情の正弘。
状況が飲み込めない、玲子と幸村。
楽しそうに笑っている信長。

その場に異様な空気と、沈黙が流れた。
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