流れ星に願いを 〜戦国遊戯2〜
「近くでよく顔を見せんか」

ニタリと笑い、手招きをす信長の所へ、スルッと玲子の手を離れ、幸姫はニコニコしながら走っていこうとした。

「幸姫!?」

玲子が慌てて幸姫を呼び止める。幸姫は足を止めて、玲子の方をみた。

困惑した、少し青ざめた、そんな表情の玲子に、どうしたのかと戸惑った。

「れいちゃ…わぁっ!」

いつの間にか真後ろにいた信長に、物を持つように抱えあげられる幸姫。驚いて反射的に、信長の手を振りほどこうとバタバタと暴れた。

「っ!」

その瞬間玲子は信長の所へ走っていた。


が。


「ふむ、どうやらこの童はお主の娘で間違いなさそうだな」

信長の傍にいた濃に玲子は取り押さえられていて、幸村の目の前には、光秀が行く手を阻むようにして対峙していた。

「れいちゃん!れいちゃん!」

顔を目一杯地面に押さえつけられ、苦しそうな顔の玲子に、幸姫はさらにバタバタともがきながら、大きな声で、玲子を呼んだ。

「はなして!れいちゃんが…れいちゃんが…!」


おねがいかみさま。
れいちゃんをたすけて…!れいちゃんをたすけて。

れいちゃんをたすけて!!



ぎゅっと目を瞑り、幸姫は強く祈った。

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