はしりがき(足跡帳)
「中年」



10代から20代前半の頃だったでしょうか?

僕は歳をとりたくてとりたくてたまらない時期がありました。

上司とケンカして、向こうの旗色が悪くなると、すぐに「経験不足」だの「若いくせに」なんて言われて、大変悔しい思いをしました。

だから頭の弱い僕は、短絡的に歳さえ取れば、すべて解決するって思ってたのかもしれません。





そうこうしている内に30代になれたのですが、もうその時には仕事を取り上げられて、みなさんご存じのように、窓際族になってしまっていました。

今日も油断してたらかわいい新入社員の前で鼻に指を突っ込もうとしてたり、括約筋がキュってなって初めて、屁をここうとしてたことに気付いてキャってなったりしてます。





そして今年34歳。

これが青年と中年の分水嶺だと僕は思っています。

なぜなら、今年までは普通の健康診断。

来年からは、生活習慣病予防検診と名前も変わり、社会保険病院まで診察を受けに行ったり、バリュウム飲んだり、胃カメラ吐いたりしなくてはなりません。





で、僕自身はというと、忍び寄る『老い』というものに、全馬力で抵抗しています。

あれほど、歳をとりたい歳をとりたいと申していた男が、今は『若さ』というものに執着したりしています。

もう、話す相手が若いってだけで、キーッ!踏みつぶしてやる!って言ったり、夜更かしして肌が荒れるように、エロサイトを教えたり、ドロドロ血になるように、缶コーヒーとタバコを惜しげもなく大放出したり、新入社員の側に行って匂いを嗅いだり、はしないけど、『若さ』というものに憧れるというより、むしろ『嫉妬』したりしています。
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