リラ冷えの頃に
「リラはどこに行きたい?」

アドニスは白銀の髪を風に靡かせながら、その視線をリラから遠くへと馳せた。

「どこでも良いよ!」

相も変わらず自分の腰にしがみ付いているリラの腕を、やんわりと離したアドニスに、リラはほんの一瞬寂しげな色を浮かべる。

それでもアドニスが隣に居るという事が、リラにとっては嬉しくて仕方ないようで、その顔から笑顔が消える事はなかった。

「じゃあ、この川の上流に行ってみる?」

「うん!!」

完全にアドニスの腰から離れてしまったリラの手は、アドニスの大きな掌に握られ、二人は目的地へと向かった。



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