リラ冷えの頃に
途中で可愛い花を見つければ立ち止まり、鳥の囀りが聞こえれば耳を澄ます。

川沿いを二人は手を繋ぎ、ゆっくりと歩いて行く。

まだ幼さの残るリラだが、アドニスを見るその目は女性特有の物へと変わりつつあった。

「お仕事、忙しいの?」

最近めっきり会う事が減ってしまったアドニスに、リラは頬を少し膨らませる。

今までは頻繁に遊んでくれたのに…。

アドニスへの想いに目に涙が浮かびそうになり、リラは思わず俯いた。

アドニスを困らせたい訳じゃない。

リラはただ寂しかったのだ。




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