月の雫 -君と歩む彼方への道-
「……なんだ、褒めてほしいのか?」

「………」


図星すぎて恥ずかしいだろ。


シルヴァイラは知らんぷりして、スープをスプーンで鳥がついばむように細々と食べていた。




「それにしてもおまえ、そんなカッコで暑くないのかよ。

みんな薄着してるし、おまえ一人そんなカッコじゃかえって目立つぞ」

「薄着できないわけ、知ってるだろ」


冷たいいらえ。


「そりゃそうだけど……」


言葉に詰まるオレに、シルヴァイラは不意に、バカにしたように片頬でうっすらと笑った。
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