月の雫 -君と歩む彼方への道-
「それに、暑さなんて何とでもなる」

「何とでもって?」

「暑さを感じてるのは体と心だろ。

”暑い”と不快に感じる心を制御できれば、別に何ともない」

「……はぁ?」


オレはバカみたいな返事をした。

心を制御するって、そんなに簡単に言うけどなぁ……


「そんな、体が参るだろ、心だけ制御しても」

「暑いと体が参る、それ自体が思い込みなんだ。

それだったら、暑い地方の人はみんな体が参ってるはずだろ。

そりゃ、炎の中に突っ込まれたら難しいだろうけど、気温が高いくらいなら別に何ら問題ない」


「……おまえ、天才だな」


最近のオレはこればっかりだ。

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