月の雫 -君と歩む彼方への道-
怪物は、いきなりオレたちめがけて飛びかかってきた。

すごいスピードだ。


(うっ)


怪物の方向に力を集中させて、何とか跳ね返す。


(こいつ、すさまじく強いが、肉体派の比較的単純なやつだな)


オレは小声ですばやくシルヴァイラに話しかけた。


「こいつ、特殊な攻撃はしなさそうだ」

「……」


聞こえているのかいないのか。

シルヴァイラは例によってフードを少しだけ後ろにずらし、その輝く金の目で、怪物をじっとにらんでいた。



(おい、何してるんだよ)


物理攻撃はするなと言われたし、オレはどうすりゃいいんだ。
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